私の好きなムーミンのお話

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)

ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫)

真っ先に挙げるのは、「この世の終わりにおびえるフィリフヨンンカ」というお話。
意味がわからず、そして不思議な気持ちになり、首をかしげつつも、中学生の時、繰り返し読みました。
大人になってもなぜかこの話に惹かれていた・・・・でもなぜ何度も読んだんだろう?

この世が終わってしまうんじゃないか、って怖がっているフィリフヨンカが何かわからないものに怯えるその描写に引き込まれます。言葉にできないソワソワした不安な感じが当時の自分のこころに共鳴したんでしょう。

最初のページにある、海で絨毯を洗っているフィリフヨンカの絵に心惹かれるんですよね。北欧の海と波ってどんなだろうな?・・・と思っていて、その後忘れていましたが、ある時NHKで作者のトーベ・ヤンソンの別荘を観て、これだ!これがフィリフヨンカが絨毯を洗った海と波だ!と感激したことを思い出します。

自分一人で世の中の大嵐に向き合ってく感じや、嵐が去ったあとのすがすがしさや、フィリフヨンカが最後の方でちょっぴり逞しい発言をする部分も好き。

今思うと、中学生の私は、思春期まっただ中で、今後の人生の荒波を予感しつつもどうしようもできない状態だったのかも。フィリフヨンカが少し元気になったことが、私を元気付けたのかもしれないな。嵐の後には晴れるんだよって
何回も読んで確認していたのかもしれないな。

ママになってしまった私は今、これをどんな気持ちで読むのでしょう・・・
なんだか読むのが怖い気もする。
おばさんを自覚させられそうで。
でもまたいつか感想を書きます。